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猫の腎臓病:第5回

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こんにちは。かなくぼ動物病院 院長の金久保です。
今回は「猫の慢性腎臓病」についての5回目、治療法についてです。

猫の慢性腎臓病の治療法

猫の腎臓病の治療法には3つの大きな柱があります。お薬,食事,水分補給(点滴)です。

お薬による治療

猫の慢性腎臓病に対して,一般的に使われる薬がいくつかあります。血圧の薬(フォルテコール,セミントラなど)と腎臓の炎症を改善する薬(ラプロス錠)が代表的な薬剤です。これら薬剤の開始のタイミングは未だに様々な議論のあるところなので,ここでは明確にはしませんが,この2つの薬剤は効果の現れる仕組みが異なるため,ある程度進行した腎臓病には併用して用いることが一般的です。また薬剤とは少し異なりますが,腎機能を補助したり,症状を緩和するようなサプリメントもたくさんあり,これらをうまく利用することもお勧めです。

薬物治療の大きな問題点は,猫は薬を飲ませることが難しい動物だということです。そのため,どうしても投薬が困難な子には,薬剤の治療を断念せざるを得ないこともありますが,今は動物用の薬剤の味も昔よりはずいぶんと改善し,投薬を補助するおやつなど便利なものもあるので,多くの猫ちゃんに薬剤の治療が行えるようになっています。

食事療法

腎臓病の子には腎臓への負担を最小限に抑えた腎臓病治療食がお勧めです。治療食は複数のメーカーから発売されているため,選択肢も多いですが,共通している特徴は「タンパク質とリンの量を制限している」ということです。これらは体内で腎臓に負担をかけるため,腎臓病の子に量の制限を行うことで,腎臓病の進行を遅らせることが可能です。但しこれら治療食は一般的に「あまり美味しくない」ということも共通しています(フードメーカーさんごめんなさい)。そのためどうしても食事の変更ができない子に関しては,食事療法は困難な場合もあります。

水分補給

腎臓病は尿の量が増え,体全体が脱水状態へと傾いていく病気です。脱水は血液の循環を悪くし,腎臓への血の巡りも悪くなることから,さらに腎臓病を進行させます。そのため,腎臓病の子には積極的な水分補給が必要です。初期の段階では飲水の量を増やすような工夫だけでも効果がありますが,進行した腎臓病には更なる積極的な水分補給(点滴)が必要になります。点滴治療は基本的には入院下で行うものですので,重篤な患者さんには入院を勧めますが,状態が安定している場合にはご自宅での「在宅治療」を勧めることもあります。これは飼い主さんにご自宅で点滴を実施していただく治療法で,多くの猫ちゃんがこの治療を行い,体調を維持しています。飼い主さんには少しがんばっていただく必要がありますが,腎臓病だとあきらめてしまう前にぜひ試していただきたい治療法でもあります。

最後に

猫の腎臓病に関しては,お問い合わせも非常に多いため,何回かに分けて少し詳しく記載させていただきました。猫ちゃんはある程度の年齢になると,高い確率でどうしても腎臓病を発症してしまいます。腎臓病は手強い病気ではありますが,適切な検査,適切な治療を行うことで,余命をグッと伸ばすことが可能な病気です。とにかく早期発見が重要ですので,7~8歳くらいになったら尿検査を含めた定期検診を強くお勧めします。

本コラムの内容は,読み物の意味合いの強い一獣医師の私見であり,「悩んでいらっしゃる飼い主様のちょっとした助けになれば」ということを目的に掲載しております。そのため,この内容を獣医学的に保証するものではありませんし,学術論文のような内容の裏付けも行っておりません(古い情報,誤った情報も含まれていると思います)。本コラムを参考にされる際には,この内容を鵜呑みにせず,必ず信頼できる獣医師とよく相談の上,病気で苦しんでいる動物たちに最も良い治療法を探してあげるようにしてください。このコラムがその助けになれば嬉しく思います。

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