明けましておめでとうございます,院長の金久保です。昨年も多くの飼い主様にご来院いただき,かなくぼ動物病院スタッフ一同感謝しております。本年も皆様のご期待に添えるようがんばって参りますので,どうぞよろしくお願いします。
さて,今日はいつもの病気の解説コラムではなく,昨年末に参加したセミナーの報告を行いたいと思います。
セミナー内容をちょっとだけご紹介
参加したセミナーは,2018年12月13日に宮城県仙台市で開催された「みちのくウェットラボ道場2018」です。専門の先生方からテーマについての講義を受けた後に,模型や実際の器具を使用しての実技講習を受ける,いわゆる実習形式のセミナーです。今回のテーマは「眼科」ということで,最近眼科の診療に力を入れ始めていた矢先でしたので,ちょっとがんばって飛行機に乗って参加してきました。
さわりだけですが,学んできたことを少しだけご紹介したいと思います。
眼球エコー検査
一般的に動物病院に普及しているエコー(超音波)ですが,それを利用して眼球内部の状態を調べます。白内障や緑内障,網膜剥離などの状態の把握には非常に強力な検査の一つです。僕自身,今までも頻繁に実施してきましたが,専門の先生がどこに着目して検査を行っているのか,またどういったところを計測・記録しているのかなど細かく教えていただき,今後の診療にとても参考になりました。
眼底検査
眼底検査は,専用のレンズやカメラなどを使用して,眼球の内部,特に一番奥にある網膜や視神経の状態を調べる検査です。特別に大がかりな機材を使用する検査ではありませんが,うまく実施するためには熟練した技術が必要となるため,お恥ずかしながら僕は今まであまり積極的に実施してきませんでした。しかし,今回の実習で専門の先生に検査のこつや注意点をたくさん教わり,今まで以上に詳細な検査ができるようになりました。網膜の疾患(網膜剥離や進行性網膜萎縮など)や白内障,緑内障などの診断/治療にはきわめて重要な検査のひとつですので,これからは当院の眼科検査の一つとして積極的に実施していきたいと思います。
外科実習
眼の手術の実習も行われ,今回は眼瞼(まぶた)の縫合法を詳細に教わりました。眼瞼の手術は「眼瞼のできものの切除手術」や「加齢などによる眼瞼の形状の異常の手術」などで実施されます。特殊な手術ではありませんが,適切に実施しないと術後の瞬き(まばたき)に異常が出たり,美容上の問題(眼の形が大きく変わってしまう)が起こったりと,技術が問われる手術の一つでもあります。今回は手術用拡大鏡を用い,従来よりも細い糸で丁寧に縫合することで,問題が少なく美しく仕上がる手術法を学んできました。今後の当院の手術に早速いかしたいと考えています。
セミナーに参加してみて
今回のセミナーは遠方でのもので,診療を半日お休みさせていただく必要があったため,参加するかどうか悩んだのですが,結果参加して本当に良かったと思っています。診療にすぐに役立つ知識や技術がたくさん学べたことで,当院の眼科診療の質が上がるという手応えを感じることができました。仙台にはプライベートも含めてはじめて訪れたので,本当はついでに観光もしてきたかったのですが,翌日の診療もあり,空港で牛タン定食を食べ,スタッフへのお土産のずんだ餅を買って,とんぼ返りとなってしまいました。
当院は他の動物病院と比べると,セミナー参加による休診や診療時間の変更が多く,患者様・飼い主様にはいつもご迷惑をおかけしております。それでも,診療技術の向上が皆様のご期待に応える唯一の道だと考えてがんばっておりますので,ご理解いただけると幸いです。休診させていただいている以上は,時々はこのような報告もさせていただきたいと思っておりますので,興味をお持ちであれば読んでいただけると嬉しいです。それでは本年もよろしくお願いします。